今回は助動詞のmust について説明します。
「~しなければならない」という意味で使われますが、それ以外にもmust の持つ意味と書き換え、他の助動詞の意味との違いなどを分かりやすく説明します。
「助動詞とは何か」、「助動詞の基本的なルール」は can の記事で説明していますので、是非参考にしてみてくださいね。
助動詞 must 4つの意味
助動詞 must は主に下記の4つの意味で使われます。
・ 義務「~する必要がある」「~しなければならない」
・ 確信「~に違いない」「~なはずだ」
・ 固執「どうしても~しないと気がすまない」「~せざるをえない」
・ 勧誘・強い願望「ぜひ~してください」「ぜひ~したい」
詳しく見ていきましょう!
① 義務 「~する必要がある」「~しなければならない」
中学で習う must はこの①義務の意味で使われます。
普通の一般動詞の「~する」の意味にこの助動詞が加わると「~しなければならない」という意味になります
肯定文
否定文は「禁止」の意味になる「~してはならない」
否定文になると禁止の意味で「~してはいけない」「~してはならない」になります。
疑問文は答えに注意!
助動詞の疑問文では、助動詞が文頭に置かれます。
Must の疑問文では、「主語は~しないといけませんか?」という表現になります。
注意すべき点は、返事の方です。
Noの場合は、「~しなくていい」という意味なので、must not(~してはいけない) ではなく
下記のように、not have toを使って「~しなくていい」にします。.
② 確信「~に違いない」「~なはずだ」
must は「~に違いない」という確信の意味でもよく使われます。
会話でよく使われるのは、義務よりも確信の意味の方が多いです。
肯定文
また、be 動詞が後ろに来ることが多いのも、確信のmust の特徴です。
進行形の形でもよく使われます。
否定文 「~なはずがない」「~なわけがない」
確信を表すmust の否定文は ~でないことを確信しているということなので「~なはずがない」という意味になります
「~なはずがない」は、can't (cannot)もほぼ同じ意味で使われ、can't(cannot)の方が一般的に使われています。
③ 固執「どうしても~しないと気が済まない」
義務の意味に近いですが、強いこだわりなど、「どうしても~でないとダメ」や「なんとしてでも~する」という表現に使われます
④ 勧誘・強い願望「ぜひ~したほうがいい」「ぜひ~したい」
①の義務の意味と少しかぶりますが、「絶対~したほうがいい」や「ぜひ~したい」という意味でもmust が使われます。
must と have to 書き換えと意味の違い
must は have toと同じような意味で、書き換え可能と習いますが、注意点や相違点について解説します。
「義務」must vs. have to
「~しないといけない」の義務の意味で使われるmust は have to ~と同じような意味で使われますが、実は微妙な違いがあります。
ポイント
義務のmust はルールや指示、命令、一般常識などを表す場合によく使われ、会話ではあまり使われません
(説明書や規則、ハンドブックなどの記載に使われることが一般的です)
会話では have to が一般的に使われ、主観的(話し手にとって必要であること)な時に使われます。
have to を have got to という場合も多くあります。
肯定文 must vs. have to
上記の場合、一般常識として「夜に外出する場合に注意が必要」という意味でもとらえられるので、must であっても、have to であってもさほど意味の差はありません。
ただし、下記のように、話し手(この場合 I) にとって「6時に起きなければならない」という意味で表す場合は must は適していません。
否定文では意味の違いが明確‼ must vs. have to
義務の疑問文のところでも触れましたが、
must not は 禁止の意味で 「~してはいけない」という意味になるのに対して、
not have to は 「~しなくてもいい」という意味になります。
● must not 【禁止】「~してはいけない」
● don't (doesn't) have to【不必要】「~しなくてよい」
「義務」must の過去形はない➡ had toを使う
can -could , may-mightのように
助動詞にも過去形があるのもありますが、must には 過去形がありません。
義務「~しなければならない」の過去形「~しなければいけなかった」という表現にするには、have to の過去形 had to を使います。
「確信」 must vs. have to
確信の場合でも must と同じように have to が使われることがよくあります。
「義務」ではmust と have to の違いがありましたが、「確信」の場合は、ほぼ同じように使われ、会話でもどちらでも使われます。
「確信」の過去形は must have 過去分詞
「~に違いない」の過去形 「~だったに違いない」という表現は【 must have +過去分詞】の形で表します。
下記の例文は、1990年にヒットしたRoxette(ロクセット)の曲 「It Must Have Been Love (邦名:愛のぬくもり)」のサビの部分です。
とても有名で映画Pretty Womanの挿入歌でも使われたので、知っている人も多いですが、この曲でmust have をマスターできそうです。
Roxette - It Must Have Been Love (Official Music Video) - YouTube
注意点 must vs, have to
助動詞だけに限りませんが、ひとつの節に複数の助動詞を置くことができないので、他の助動詞を置く必要がある場合は must ではなく have to を使います。
名詞としても使われる must
must は 名詞としてもよく見かけます。a must-read や a must-see など 動詞とくっつけて 可算名詞扱いで表します。
意味は④「絶対に~するべき」と同じように強く薦める場合に使われます。
must まとめ
中学で習う must ですが、義務の「~しなければならない」とほかでも使われる意味も説明しました。
義務のmust は have to と書き換え可能と習いますが、実は意味や使う場面の違いがあるので、実際に使う場合は have to の方が自然です。
また、会話でのmust は 「確信」の意味で使われることが圧倒的に多いので、「~なはず」「~にちがいない」の意味も一緒に覚えると便利でしょう。