今回は高校で習うto不定詞の応用を見ていきます。
不定詞の名詞的用法は補語になることもできると説明しましたが、今回の「補語になるto不定詞は」形容詞としての役割をします。
形容詞は名詞を修飾(説明)する役割があり、補語の部分に置くことができます
下記は、「補語としての名詞」と「補語としての形容詞」の例文で第2文型の形をとっています。
左の文は「私の犬はトイプードルです」と補語が名詞になっています。
いっぽう、右の文は「私の犬はかわいい」と補語が形容詞になっています。
どちらも、第2文型の特徴である、《主語=補語》の関係が成り立っています。
今回は、補語の部分が形容詞として成り立つ to不定詞を用いた表現を見ていきます。
文型で言うと、補語が使われるのは第2文型(SVC)と第5文型(SVOC)です。
このCの部分に形容詞的用法のto不定詞が置かれる表現を詳しく見ていきましょう!
第2文型(SVC)の補語(C)にto不定詞が来る場合(be to do)
be動詞の直後にto不定詞が置かれ、第2文型(SVC)の形がとられる表現があります。
そして、この補語のto不定詞は、主語の「状態」を説明する形容詞の役割を果たします。
文脈によって、以下の通り意味を解釈する必要があります。
● 命令・義務(~しないといけない)
● 予定 (~することになっている)
● 運命 (~することになる)
● 可能 (受け身で ~できる)
● 意思・意図 (仮定形で~のつもりなら○○)
重要なことは、文の内容をしっかり把握して、上記のどの意味に当てはまるかを見分けることです。
本質的な意味は「~することになっている」がベースにあります。
命令・義務「~することになっている」「~しないといけない」
補語を表すto不定詞はbe動詞の後ろに来て、 「主語=~しなければいけない(状態)」「主語=~してはいけない状態(否定形)」の意味になります。
意味的には [You may not leave this room until I come back]と同じなのですが、文法的には第2文型の形で
S=You
V=are
C=not to leave…
S=C あなたは部屋を出ない状態だ➡ あなたは部屋を出てはいけない
こちらも、意味としては [He has to] と同様の意味になりますが、文法的には「(これから=to不定詞の本質)報告する状態」という意味になります。
S=He
V=was
C=to report the problem
S=C 彼は問題を報告することになっている➡彼は問題を報告しないといけない(義務)
予定 「~することになっている」
命令・義務とほとんど変わりませんが、時間や場所・場面の記載があるなど、文脈で判断します。
意味としては [we were going to get married ]と同じですが、S=Cの状態 なので 「結婚することになっている(状態)」と補語が形容詞的な意味になっています。
受け身の形でも予定をあらわす意味でよく使われます。
It(S) = to be discussed(C) でイコールの関係になり、「議論されることになっている」と予定の状態になります。
ドラマの最後に[to be continued ]もit is が省略されていて、「次回に続く」という意味で使われます、
yet to 肯定文でも否定的な意味で「まだ~していない」
be動詞(またはhave) の後ろに「まだ」という意味の yet をおいて、「まだ~に至っていない」「まだ~していない」と否定的な意味でもよく使われます。
否定的な意味ですが、「これから~する(される)」という「予定」の意味が含まれています。
メインキャストはまだ公表されていないけど、近いうちに公表されるという意味を含んでいます。
about to 「今まさに~しようとしている(状態)」
be動詞の後ろにabout をつけると、「今まさに~しようとする」という予定でも「ちょうど今」のことを指す表現もよく使われます。
運命 「(否定文で)~することはなかった」
運命を表す場合は、never などの否定形で表されることがほとんどです。
「二度と~することはなかった」など、 never と again が付くこともよくあります。
「二度と~されなかった」と受け身でも使われます。
可能 「~できる」否定形で「~されない」
可能の意味で表される場合は、受け身の表現で、「to be seen」「to be found」が多く使われます。
また、否定文で使われる場合も多く、「どこにも見当たらない」「どこにも見つからない」などの表現が多く見られます。
意思・意図 「~したいなら○○しなければならない」
If~の条件の節と一緒に用いられ、帰結節(if節ではない方)に must / need to / 命令文 などが入ります。
予定の意味と似ていますが、if (条件節)が使われていて、「~するのなら○○しないといけない」「~するつもりなら○○してください」という風に使われます。
また、現実の可能性が低いものには、be動詞を過去形で使い、帰結節にもwould / could などが使われます。
これは、「仮定法未来」として別の記事で解説していますので、是非参考にしてください。
be動詞以外で to不定詞を使った第2文型の形をとる動詞
be動詞以外にも第2文型の形をとる一般動詞はたくさんありますが、補語にto不定詞が来ることができる第2文型の一般動詞は
seem to~
appear to~
happen to ~
が代表的です。
seem to 「~らしい」「~のようだ」
seem は look と同じように使われ、 He seemed nice. など seem の後ろに形容詞が置かれますが、
seem to不定詞で 「~しているようだ」という意味になります。
この場合も
S=my son (私の息子)
C= to enjoy baseball
とS=Cの関係が成り立っていることが分かります。
息子=野球を楽しむ(状態)で補語は形容詞的なことが分かります。
seemと判断するよりも過去のことを表すときは 「seem to have 過去分詞」で「~したようだ」となります。
S=They (彼ら)
C=to have broken up (もう分かれている状態)
因みに、look は seem やapprear と同じように「~のように見える」という意味ですが、 He looks to enjoy playing baseball. や
They look to have broken up という言い方はしません。
appear to 「~らしい」「~のようだ」
appear to も seem to と同じように「~するようだ」「~するらしい」という意味ですが、seem と appear には微妙な違いがあります。
seem は 主観的な意見として「~するように見える」「~するらしい」という意味で、
それに対して、appear はほかの人から見てもそう見える、視覚的にそのように見える、とビジュアルを指しています。
チャドはほかの人から見ても明らかに「息子の名前を覚えていない」状態と言えます。
seem と同様に、やせた(過去)ように見えるという場合は、「appear to have 過去分詞」を使って表します。
こちらも、appear なので、誰から見ても「やせた」ように見えて、 seem だと話しての「意見」として「やせた」ように見えるということになります。
happen to 「偶然~する」
「偶然~する」や「たまたま~した」という場合にも happen to 不定詞が用いられ、第2文型の形をとります。
疑問形の場合は「もしかして~しますか」などの意味でも使われます。
第5文型 (SVOC)の補語(C)にto不定詞が来る場合
第5文型でも目的語(O)のあとに補語(C)が来ます。
この形をとるときは 補語としてのto不定詞が目的語(O)を説明する役割をするので、O=Cの関係が成り立ちます。
「SはOがCすることをVする」という意味になります。この形をとるときは、Oが意味上の主語としてto以下(C)をするという意味になります。
否定文はどこを否定するかに注意すること‼
否定文はどの部分を否定しているかで意味が変わるので、注意が必要です。
上記は、
S: Out school(学校)
V: doesn't permit(許可しない)←ココを否定
O:students(生徒が)
C:to use smart phones (スマホを使うのを)
いっぽうで、子の例文は
S: The doctor(医者)
V: instructed (指導した)
O: me (私に )
C: not to drink heavily ←ココを否定
SVO+to不定詞の形を作る他動詞は下記のようなのがあります。
advise 助言・忠告する |
enable |
invite 招待する |
promise 約束する |
want 欲しい |
allow 許す・許可する |
encourage すすめる・促す |
need 必要とする |
remind 思い出させる |
warn 警告する |
ask たずねる・お願いする |
expect 期待する・求める |
order 命じる・指示する |
require 要求する |
convince 説得する・納得させる |
cause ~の原因となる |
force 強制する |
permit 許可する・許す |
tell 言う・命じる |
threaten 脅す |
choose 選ぶ |
hire 雇う |
persuade 説得する |
threaten 脅す |
would like 欲しい |
command 命令する |
instruct 教える・指導する |
prepare 準備する |
urge 強く薦める・せきたてる |
まとめ 補語になるto不定詞
補語の役割をするto 不定詞について解説しました。
補語になるえるのは「名詞」「形容詞」のふたつのみです。
今回は、形容詞的な意味として補語として使われるto不定詞を見ました。
SVC、第2文型の形をとり Cの部分にto不定詞が来る場合は 「be to do」「be to 構文」と呼ばれます。
この場合のto不定詞は補語の役割をして、
「主語は~することになっている」と予定を表したり、
「主語は~しないといけない」(義務・命令)
「主語は~できる」(可能)
「主語は~することはなかった(否定形で)」(運命)
「主語が~するつもりなら○○(仮定形)」(意思・意図)
など、文脈や形で意味を判断します。
そのほかにも seem to / appear to / happen to などが第2文型の形をとり、補語にto不定詞が置かれることがあります。
SVOC,第5文型は 意味上の主語は目的語で表されているので、意味上の主語O=Cの関係が成り立ちます。
ただ、I want you to be happy.
「私はあなたに幸せになってほしい」
O=you
C=to be happy
You=to be happy
ここまで形容詞用法で紹介しておいてなんですが、
「幸せになる状態」で形容詞用法ではあるものの、「幸せになること」と名詞的にとらえてもO=Cの関係が崩れないので、問題ないわけです。
応用になればなるほど、型に当てはめるのが難しくなり、用法にこだわると本質から遠ざかってしまう感じがします。
不定詞が何の用法かにこだわる必要はなく、文の構造と正しい意味のとらえ方のほうがずっと重要なので、補語としてのto 不定詞の表現にたくさん触れて慣れていくことが大切です。