前回は比較級の基本と応用を解説しましたが(【TOEIC・英検・大学入試対策】比較級の基本と応用)
今回は大学入試や英検、TOEICでもよく出てくる「more」 や 「less」 が否定の 「no」 、「not」と結びつくとどういう意味になるのかを見ていきます。
「クジラ構文」を含む以下のことを説明していきます。
- no more A than B 「Bと同様にAではない」
- no less A than B「Bと同様にAである」
- no more than ~ 「~しかない」
- no less than ~ 「~もの」
- not more than ~ 「多くとも~、せいぜい~」
- not less than ~ 「少なくとも」
その前に more, lessの基本をしっかりと理解する必要があります
more ・ less の基本的用法
【more】
more の基本
①形容詞・副詞:もっと、より多く
②more than~ : ~以上
③more ○○(形容詞・副詞) than ~ ~よりも○○だ/する
【less】
less の基本
①形容詞・副詞:~より少なく、
②less than 数値:数値以内、以下
③less 形容詞・副詞 than ~ ~ほど○○ではない
肯定文にもかかわらず否定的になることを覚えておきましょう
more ・less の否定形
more, less が否定を表す no やnotがつくとどういう意味になるか見ていきます。
no more = not any more
本題に入る前に、一般的な否定文のおさらいとして、no とnot では少しニュアンスが違うことを理解していれば、次に進みやすいです
私は全く宿題がありません
私は宿題がありません
noが付くと ゼロ/全くない という意味になるのに対して
not は 「あるの否定」になります
not を使って、ゼロ/全くないという意味にするには
not any を使います
=I don’t have any homework to do.
私は全く宿題がありません
クジラ構文 no more A than B 「Bでないのと同様にAではない」
クジラ構文の構成 no more A than B は 主語(S)は比較の対象(B)と no more=全く差がない/違わない(A)という意味で使われます。
つまり、主語(S)は比較の対象(B)と同じくAであるという意味ですが
B(a horse)は A(a fish) ではない ということが明確です。
それとno more =全く違わず=同じく~ではない と言っているので、結果的に否定的な意味になります。
ポイント
① no moreとthan が離れている
② than 以下は明確(当たり前、前提)なこと
than 以下の文には否定を表すnotなどがないが、否定として解釈する
★馬が魚ではないことは明確なこと
③ ↑これと同様にクジラも魚ではないと否定的な意味になる
④ 間に入る(A)は名詞、動詞、形容詞など色々
(下記例文参照)
書換え
■not A any more than B
上記で解説した通り、no more = not any moreなので、下記のように書き換え可能
①
逆バージョンクジラ構文 no less A than B 「Bであるのと同様にA」
「no」否定(-)+「less」否定(-)=二重否定で 肯定的な意味になります
no less =ではなくはない(二重否定)➡肯定
文の構造はno more A than Bと同様、no less A than B
ポイント
① no moreとless が離れている
② than 以下は明確(当たり前、前提)なこと
★サルが哺乳類であることは明確なこと
③ ↑これと同様にクジラも哺乳類であると肯定的な意味になる
④ 間に入る(A)は名詞、動詞、形容詞など色々
(下記例文参照)
書換え
■ not A any less than B
no = no any なので no less = not any lessになる
■例文■
no more than ・ no less than
クジラ構文ではno more/no less と than は離れて使いますが no more than ~/no less than ~とくっついている場合もあります。
ポイント
① no more than / no less than 離さず3語まとめて使う
② 数値がピッタリである(30人以下でもなく、以上でもない)
同じ「30人が参加した」という意味でも、少ないととらえれば no more than , 多いととらえれば no less then と表す
■ 書換え
no more than は 「~しか」という意味なので、only と同じ意味になります。
いっぽう、no less than は「~も」という意味なので、as many as / as much as と書き換えができます。
①
I had no more than a glass of milk this morning.
今朝グラス一杯の牛乳しか飲まなかった
= I only had a glass of milk this morning.
My grandfather gave me no less than 20,000 yen.
祖父が2万円も私にくれた
=My grandfather gave me as much as 20,000 yen.
not more than ・ not less than
さらに not more than / not less than という表現もあります。
no more than / no less than は数値がピンポイントでしたが、
not more than / not less than では数値が曖昧になり
not more than 「せいぜい」「多くとも」
not less than 「少なくとも」
という意味で使われます。
ポイント
① not more than / not less than 離さず3語まとめて使う
② 数値があいまい
not more than ~ :最大で~・せいぜい・多くとも
not less than ~: 少なくとも
not more than = at (the) most
not less than = at least
①
I slept not more than 3 hours last night.
昨夜せいぜい3時間しか眠れなかった
=I slept at most 3 hours last night.
She has not less than 15 cousins.
彼女は少なくともいとこが15人はいる
=She has at least 15 cousins.
まとめ
クジラ構文は苦手な人が多いですが、
- no more = 否定文
- no less = 二重否定➡ 肯定文
- than は 「~よりも」ではなく 「no」が付くことによって、前節とthat 以下の差がなくなり「同等」になる
- no = not any を理解できれば、no more than = not any more than への書き換えも迷わずできます
- no = not any なので、no≠not であることも分かるので上記とともに理解すれば
no more than / no less than / not more than / not less than の意味の違いも定着していきます
今回は長くなりましたが、次回は比較の最上級をまとめていきます